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「嬉しいよ・・・・・・ロイ」
きっと、並々ならない修行をしたんだろう。
魔界からでるには半端な力ではダメだと言うし、もしかして一族でも指折りの猛者になっているのかもしれない。
「俺さ・・・・・・これからは、人間の世界でおまえと生きていきたい」
顔を上げ、優しい瞳で私を見つめるロイ。
「でも・・・・・・私が先に年を取っちゃうのよ・・・・・・」
以前、ロイに言われた言葉が脳裏をよぎる。
(俺、おまえが年を取るのを見たくないんだ・・・・・・。でも俺は魔物だから・・・・・・おまえよりずっと長生きする)
今はいいわ。
でも、もっとずっと先・・・・・・私たちに訪れる終幕の足音・・・・・・お互いに、悩むに違いない。
私の考えを振り払うように、ロイは、ゆっくりと首を振った。
「おれな、おまえがしわくちゃになっても、ずっと愛してる」
「ろ、ロイ・・・・・・?」
「それにさ、おまえと暮らすために、すっげー魔法も手に入れたんだぞ」
「魔法?」
「ああ、おまえの時間に合わせて、同じように年を取っていける変身魔法だ」
「そんなこと・・・・・・出来るの?」
「まぁ、魔力をちょっと使うから・・・・・・、他の奴らより寿命が・・・・・・まぁ半分くらいになっちまうんだと思うんだけどな」
「そんな! 私のために・・・・・・!」
驚く私の頬に、ロイが指をかける。
「バカだな、どんなに寿命が長くてもさ、おまえがいなきゃ俺の人生意味が無いだろ。だから、出来るだけ、おまえの傍にいたいんだ」
「ロイ・・・・・・本当にいいの?」
「ああ・・・・・・だからさ、これからの人生。俺と一緒に過ごしてくれ、かなた」
「うん・・・・・・」
嬉しくて、涙がはらはらと零れる。
「こら・・・・・・泣くなって・・・・・・俺こそ、断られたらどうしようって、ビクビクし通しだったんだぜ」
ロイはその涙をぬぐって、微笑む。
「俺はこの月に・・・・・・お前に誓う。・・・・・・限りある人生を・・・・・・永遠に・・・・・・おまえと・・・・・・」
そう言って、私に・・・・・・キスをした。
毎晩、祈りを込めて、一人見上げていた星空。
ロイが帰ってきますように。
早くロイに会えますように。
笑って抱きしめてくれますように。
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