第1章 出会い

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 俺達の初対面は、小学六年の時に遡る。  季節外れの転校生がやってきた。教室に入った瞬間、目が釘付けになった。あの時の感動のような強い衝撃は、忘れられない。  君は三つ編みおさげで黒いランドセルを背負っていたね。そして、遠くを見るような落ち着き払った目つきでクラスの誰とも視線を交わすことなく、緊張や恥ずかしがることもなく、平然とそこに佇んでいた。  陶山(とおやま) 雪菜(ゆきな)  色白で控えめな顔立ち。真っすぐ伸びた前髪に、切れ長の目尻が印象的だ。この年齢に相応しくないほどに大人びた雰囲気を漂わせている。俺はその時はまだ恋というものがわかっていなかったが、自分が彼女に抱いた好奇心が一秒ごとに膨らんでいくのを、ドキドキしながら感じていた。
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