第16章 与えられた運命

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*-*-*-*-* ゆきな *-*-*-*-* ジンのエスコートはとても優しいのに冷たい感覚がその指先から伝わってくる。 まるで氷のような冷気が小さな針となって皮膚をさしてくるようで、ジワジワと麻痺するような感覚がある。 手を放してもすぐに持っていかれてしまう。 立ち止まっても、誘導されるとなぜか脚が勝手に動き出す。 これは絶対になにかおかしい。 二人きりになると優男の柔和な笑顔が徐々に消えていく。 もう笑顔の必要がないと言わんばかりに。 この男にとって女はどんな存在なのだろうか? あの沢山の女達のおぞましい記憶の最後に見せたこの男の顔は、楽しんではいたが。 実際に肌に触れた時に、咄嗟に感じた。 獲物を獲ることを無邪気に楽しむタイプなのだろう。 だったら、これから何をしようとしているのか想像がつく。 わかっているのに逃げられない。 ゾクゾクするのに、どこかで期待している自分がいる。 何を期待することがあるの?
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