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僕がいつも通り福祉施設で働いていると、園長先生から話があると園長室に呼び出された。
この福祉施設の園長先生は女性で、子供たちや職員の皆に、とてもよく気を遣ってくれるため皆から信頼されている。
何の話だろうかと思いながら園長室に入ると、園長先生からソファーに座るように促された。
僕がソファーに腰を下ろすと、園長先生が僕の対面に座って話を始めた。
「若林君、先日のアーチェリーの大会で、優勝したそうだね!
おめでとう!」
園長先生が笑顔で祝福してくれて、僕は嬉しかった。
「はい、ありがとうございます。」
僕がお礼を言うと、さっそく園長先生は本題を切り出した。
「若林君は、オリンピックを目指しているのかな?」
僕は、自分の気持ちを正直に話すことにした。
「はい、できることならオリンピックに出場してみたいです。
でも、今の僕には無理だと思います。」
園長先生は、僕の目をじっと見つめて、話をはじめた。
「職員の皆と話をしたけれど、若林君にはアーチェリーの練習に専念してもらおうかと考えているんだよ。
特別な資金援助は難しいけれど、給料だけは今まで通り払わせてもらうよ!」
それでなくても人手が足りないことを知っている僕は、気になって質問した。
「僕がいない分は、どうするのですか?」
「若林君の仕事は、職員の皆が分担すると言ってくれているんだよ!」
僕は、職員の皆に申し訳ないと思う気持ちと、職員の皆の温かい思いやりを嬉しく思う気持ちが、複雑に入り混じった心境になった。
「それは、皆に申し訳がないです。
今まで通り、仕事だけはきちんとやらせてもらいます。」
「まぁ、今日のところは、皆の気持ちを伝えたかったのよ!
皆応援しているから、頑張ってください。」
僕は、園長先生をはじめ職員の皆の気持ちが、とても嬉しかった。
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