金平糖の夢

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 生まれ育ったこの地が大層気に入ってらっしゃるらしく、他所から変なモノが入ってくると毛を逆立てて追い出しにかかられる。ちなみに狐の姿の土地神様だ。  昔はぼくも変なのに絡まれてよく泣きつきに行っていたが、全スルーを決め込んだ今では、手紙でそれとなく近況報告をするだけにとどめている。  小さい頃、一緒に読み書きの練習をしておいて良かったと思う。でなければ手紙なんて手は使えない。いくら神様でも元は狐だ──というわけではなく、言語形態のジェネレーションギャップが凄まじかったのである。けれど、そのおかげで古典はぼくの得意教科だったりもする。閑話休題。  さて。  体もいい具合に冷えたし、立ち上がろうと石段に手を付けば、たまたまそこにあった落ち葉がくしゃりと砕けた。  「……また掃除にでも来るかな」  この風音様が留守にしているのは知っている。少し前に、『友人の所に遊びに行ってくる!』といった内容の一、方的な置き手紙があったからだ。  人のベッドに小枝で書いていたことや、友人でなく友神の間違いではないのかなど、色々と突っ込みどころはあるものの、留守にすることは理解できた。  『関わらない』を公言してから、馴染みのある神様や妖怪たちは、ぼくの気持ちを汲んでくれているらしい。     
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