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金平糖の夢
物心ついた頃から、変なモノを見ていた。
一番古い記憶が、〈おもちゃの達磨がウインクをしている〉記憶なので、恐らく生まれた頃から見えていたのだと思う。ちなみに後で気になって調べてみたところ、その達磨は祖母の家の物凄く古い物だった。たぶん付喪神だ。
小さかったり大きかったり、光っていたり陰に沈んでいたり。
色も形も様々なモノたちは、ぼくの日常に当たり前に存在していた。
それは、世に言う〈あやかし〉というモノたちで。
ほとんどの人は、見えない聞こえない触れない──つまり、気付かない。
関わると碌な事がない、と学習したのはいつだったろうか。
嘘つきと同級生に石を投げられた時だったか──、
それとも声をかけてきたあやかしに喰われそうになった時か──、
あやかしを払いに来た奴に一緒くたに殺されそうになった時か──、
覚えていないが、そう、いつからかぼくはあやかしに関わるのをやめた。
昔仲良くしていても、その関係がずっと続くわけではないのだ。
小さい頃、嵐の日にボロ雑巾のようになっていたのを助けて一緒に遊んだ小狐だって、いつぼくを喰わないとも限らない。
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