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冒険者にはわかりやすくランク付けがされているらしい。誰でも登録できる初期段階がFランク、受けられる依頼は自分のランクの二つ上までと決められている。戦闘を伴うようなものはCランクからなので、ひとつランクを上げなければ危険なものは受けられない。
ということは、今日すぐに戦ったりしないでいいんだろう。ちょっと安心した。
「アケミの推薦って言うなら、最初からそうだな……Bランクにはしてやってもいいが、どうする?」
安全神話は一瞬で崩壊した。
アケミさん効果、おそるべきだ……。本来ランクを上がるには、一定数依頼を達成し、ポイントをため、さらに昇級試験を合格する必要がある。
「あら、そんなにサービスしてくれるの?」
「どうせアケミが連れてきたって言うんなら遅かれ早かれAランクにはなるんだろう?良いじゃねえか」
大ざっぱに聞こえるが、これでもギルドの責任者だ。これだけのことを言わせるアケミさんがすごいということだろう。
「実を言うと彼がどこまでできるかわかっていないの。提案は嬉しいけど、そうね。昇級試験を受けられる権利だけもらえるかしら?」
「なんだそうかい。ああ、構わねえぜ。とりあえずはどうする?」
「順番に、とはいえ一度にすませられるものは済ませてくるわ」
「そうか。じゃあとりあえずBランクまでの昇級試験だな。ちょっと待ってろ」
奥に消えていったひげの男を見送り、戸惑う俺にようやくアケミさんが話をしてくれる。
「そういうことだから、がんばってね」
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