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「アケミさんって、かなり大ざっぱだよな」
「あら、手とり足とり優しく教えた方が好み?」
「嬉しい申し出だけど、それは俺の身がもちそうにないです……」
頼まれれば本当にやるぞという意気込みが見え隠れするアケミさんに、冗談でも頼める雰囲気ではなかった。もちろん、からかわれるだけなこともわかってはいるが……。
「待たせたな。これがBランクまでの昇級試験の内容だ」
「ありがとう」
受け取ったアケミさんが、内容を説明してくれた。
「採集しないといけないものが二つ。討伐が三匹。討伐したうえで素材を持ってくるのが一匹ね」
一つの試験で一つ、もしくは一匹というわけでもないようだ。
「一番難しいのは……洞窟の奥にいる魔物、クリスタルスパイダーの討伐ね」
国を出てすぐの森を進めば、山脈にぶつかる。鉱山になっている山にはいくつも洞窟があり、ダンジョンと呼ばれているものもある。外と違いそこに適応し、人による定期的な討伐も免れた結果、強力な個体となった魔物が潜みやすいという。
クリスタルスパイダーはその一つで、名前の通り宝石のような身体を持つ蜘蛛だ。
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