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「魔法使いを連れてまいりました」
「うむ。そんなに固くなる必要もあるまい。面を上げよ」
「失礼します」
全くついていけない。
なんだここは?かの国民的RPGに出てくるような、俺のイメージ通りの玉座に座る王が、そこにいた。
「さて、魔法使い殿、わざわざ御苦労。聞けばアケミと同郷というではないか。非常に遠いところと聞いておる」
「はぁ……」
畏まって膝をつき、王と思わしき人物と話していたのはさっきの美女だ。アケミというのか……。今の今まで名前すら知らなかった。
「アケミをして稀代の天才と言わしめるお主をこの国へ迎えられたことを、喜ばしく思う」
いつの間にか俺は稀代の天才になっていた。さっきまで冴えないフリーターだったというのに、大躍進である。
「さて、アケミからも聞いてはおろうが、余から正式に話をするとしよう」
何も聞かされずに連れてこられたというわけにもいかず、話を聞く。俺としてもよくわからないままここにいるよりは、話を聞けた方がありがたい。
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