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聞けば、この国は魔王によって平和が脅かされており、それを救うべく各地から優秀な人材を呼び寄せ、その討伐へと向かってもらっているという、なんともベタな話だった。
「ということは、アケミさんが勇者……?」
「残念ながら勇者と呼べる存在は見つかっておらぬ」
「そこからスタート……」
思い描くシナリオとは大きく異なるようだが、まあおおむね国王に言われて魔王を目指すという王道は守っているらしい。
「長旅の疲れもあろう。今日は城でゆっくり休まれるが良い」
そういって、王都の謁見が終わった。
「さて、色々説明してほしいんだけど、アケミさん」
「ええっと……どこから説明すればいいかしら?」
アケミさんはこの世界で魔法使い兼剣士らしい。それ、勇者じゃないのか?
「残念ながら、一目で勇者とわかるような人がいれば、それはもう化け物よ。私はなりそこねね」
「それなのになんで国王とつながってまで仲間を集める立場に……?」
「私、あなたと同郷と言ってたわよね?突然よくわからないところに放り出されて、頼れる先が思い浮かばないから、とりあえず王家を頼ったのよ」
簡単に話しているが、もちろん何のメリットもなく保護してくれるほど、王はお人よしではなかった。独学で魔法を学び、元々習っていた剣道を元に、実践で鍛え、ようやく目に留まるところまで来たらそお。
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