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そんな手を上げてくださいみたいな気軽さで、もちろん何も教わらずにそんなことを言われても……。
「あれ?いま、火が出たような」
「この世界は元いた世界とは違って、あなたの思い描くことはある程度実現できるはずよ」
私が見込んで連れてきたのだから。そう得意げに付け足すアケミさんは、元の世界より少し幼げに見えた。
しばらく続けていると、ある程度、火や水、風を生み出したり、超能力のような、ものを浮かせたりといったことができるようになった。
「やっぱりあなた、才能があったわね」
「この才能が俺が貞操を守り続けてきた結果と言われると、何も言えない……」
「生かされたのだから、いいじゃない?」
そういえば、アケミさんもこの世界では一目置かれる魔法使いだそうだ。
そしてアケミさん自身が性欲と魔法使いの素質のつながりを見出していた。つまり……?
「あら、集中力が乱れてるわよ」
「っ!?」
ある程度魔法が出せることがわかってからは、それをコントロールするトレーニングに移る。
時折こうしてアケミさんが妨害してくるのを耐え忍ぶのがトレーニングと言われているが、アケミさんの妨害がどんどん物理的なものになっていくのが気になって仕方ない……。具体的に言うと、胸が腕に当たっていた。
「勘弁してください……」
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