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アケミさんはそれらの声を適当にあしらい、入口から真っすぐカウンターへ向かう。カウンターの向こうに、豪快にひげを生やした男が現れた。
「何だアケミ、久しぶりじゃねえか」
「ええ、故郷に戻って彼を連れてきたの」
「アケミがわざわざ連れてきたってことは、そっちの兄ちゃんもやるんだな?」
「それは、これからに期待ね」
簡単な手続きを済ませ、晴れて冒険者となった俺に、最初のミッションが与えられた。
「なあに、アケミと同郷ってことは、とんでもない力を持っているんだろう?いつもアケミから聞いてたぜ。故郷に戻れば同じようなことができるやつがごろごろいるってな」
なるほど、それでこれだけ周りから熱視線を浴びせられていたわけか。さながら期待のルーキーというところだろう。
「アケミさんって、そんなにすごいんですか?」
「すごいなんてもんじゃねえぞ!なんせ王宮に呼ばれるんだ。王宮に呼ばれる冒険者なんざ聞いたことがねえ。あそこは貴族や商人の行くところだとずっと思っていたからな」
「王宮に呼ばれるだけですごいのか……」
「それだけじゃねえ。うちで登録した冒険者の中では頭一つどころか、二つも三つも抜けてる。ただのAランクの冒険者って扱いじゃ足りねえくらいだ」
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