第4章

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   ぼくは病院に行った。    予約したのに二時間も待たされて、物々しい検査をたくさんして、そこにいるだけでクタクタになりながらようやく回ってきた診察。脳波も調べた。心電図も取った。血液検査もして、バリュームも飲んだ。CTもMRIもやった。レントゲンも撮った。尿を取って、血圧も調べた。聴診器も当てられた。それなのに、先生のお話はとても簡単なものだった。     「特に異常はないです。よかったですね。少し痩せすぎだから、ちゃんと食べてくださいね。はい、では次の方」  飯をたくさん食ったら、治るのか? バカ言え。  ぼくはがんばって食い下がった。     「左肩の下の膨らみは?」 「そんなものはありませんよ」  その時に膨らむのだ!といくら説明しても、医者は笑うだけだった。 「エイリアンじゃないんだから。そんなに心配なら、膨らんだ時また来てください」  ぼくは落胆して帰路についた。来て損したと、心から思った。
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