第5章

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 そうやって竹田さんはよくやくこの施設に来たけど、ゆうちゃんは竹田さんの姿を見るのが辛いって言ってた。  ぼくには、家族がどんなに悲しいかなんて、正直わからない。  ホームは、利用者さんを安全に、その中でできるだけ快適に生活してもらうところ。だけど、スタッフは膨大な仕事に駆けずり回っているから、そのうちの安全面だけでも確保するのに精一杯。家族の想いとは、かけ離れた場所だと思う。        ぼくはそのスタッフの中で人一倍ヘロンヘロンで、せいぜい思い浮かぶことをやってみるぐらいしかできない。  で、竹田さんを悲しませないようにするには、どうしたらいいかをぼくは考えた。        ぼくはあんまり頭が良くないから、考えてもロクな結論には行き着かなくて、出た答えは簡単なものしかなかった。        竹田さんのチャンネルを受け入れること、ただそれだけ。
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