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庭の真ん中らへんにある池の前で立ち止まった竹田さんが、それっきり動かなくなった。ぼくはちょっと慌てて、何か具合が悪いのかと竹田さんを覗き込み、肩など少しゆすってみた。やっぱり、竹田さんは動かない。
ほかのスタッフを呼びに行こうと思ったところで、竹田さんがようやく動いた。
池の傍にしゃがみ、水を見て、竹田さんは言った。
「超新星という言葉を知っていますか?」
「え?」
「超新星という言葉を知っていますか?」
「ええと・・・・超新星、どっかで聞いたことあるなぁ。あ、韓国のアイドルグループでしたっけ」
竹田さんはそのぼくの答えを無視して、また水を見る。
これは竹田さんに限らず、利用者さんの多くに言えることなんだけど、見当違いに思える質問や問いかけをしながら、彼らは独自の鋭敏なアンテナで、相手の答えが自分への的確な答えかどうか、鋭く感知する。
嘘や適当な答えはちゃんと選別されて、彼らの心をすり抜けて落ちる。
その時のぼくは適当じゃなくて、ほんとにそう思いついたから言ったんだけど、竹田さんのアンテナに引っかかるものじゃなかったみたいで。
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