第6章

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  「超新星って何でしたっけ?」  そのぼくの問いに、竹田さんははっきりと答えた。 「星が死ぬこと」 「死ぬこと?」 「ええ、そうです」 「超がつくくらい、新しいんじゃなくて? できたてほやほやってイメージだけどな」 「それは新星。超新星は、星が自ら爆発して、その営みを終えること」 「そうだったんだ。初めて知った。なんか怖いな。星が爆発したら、全部粉々に砕け散って、何もなくなるんだよね。宇宙から、なくなる」 「そうね、斉藤くん」  ぼくは斉藤くんじゃない。竹田さんは今、きっと小学校で教えた自分の生徒に話している。池の中の水を見ながら。       「黒ね。真っ黒だわ」 「この池が? きれいな水だと思うけどな。透明で魚もいる。水草も生えてる」 「黒よ。宇宙の黒」 「宇宙の黒?」 「斉藤くん、黒は透明なのよ」 「え?」
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