第2章

2/4
前へ
/72ページ
次へ
 昔から寝つきがあんまりよくなくて、寝るのにすげぇ時間がかかる上に眠りが浅くて、朝方ようやく深い眠りに落ちて、ちょっとぬくぬくするともう朝だから。        たいして考え込むタチでもないのに、寝ようとするとなぜかだんだんと目が冴えてくる。普段は鳴ってるのさえわからない冷蔵庫のモーター音とかすげぇ気になって、耳について。         だから、寝る前は携帯の電源をオフにしている。せっかくうつらうつらしている時にメールやラインが入ると、小さな着信音だけでピクッと頭が反応するから。  友だちは言う。遅レス常習犯。つきあい悪いって。そうさ、ぼく、夜中は連絡つきません。        神経質?いやいや、ものすごく大ざっぱでズボラ。いつもボケッとしている。怠け者。のんびり屋さん。それなのに寝つきが悪い。夜が長くて、朝がすぐ来る。朝は頭にモヤがかかっていて全然起きられない。起きた瞬間、ああ無理だと感じる。もう一回寝たくなるんだ、ちょっとだけ。全然足りない気がして。それじゃあ一日やっていけないと思って。それで、ほんの少しって自分に言い聞かせてちょっと寝ると、起きる時間を大幅に過ぎてる。目覚ましを何段階もかけてんのに。        よくあること? そうだね、みんなそう言う。眠いけど、みんな起きてる。そこを押して起きるのが大人。社会人。あたりまえのこと。はい、わかってます。これでも、寝坊するたび愕然とする。懲りずに毎回、愕然とする。反省する。ヤバイと思う。こんなことじゃダメだなって思う。それでも時々やってしまうから、そのたびに自己嫌悪になる。自己嫌悪になるのはまじめだからなんだよ。誰も言ってくれないけど。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加