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13.きみのいる場所
「特急とかタクシーとか使いつつね。リンちゃんが聞いた車内放送の駅名の方に出て、その先は勘頼って来てたんだ。んでシローくんが海で夕陽見えないって言うから東側の海辺でよし正解、と思ってたら六時の町内放送の音楽とか流れるからさ。その辺をヒントにしつつ」
あとはポロシャツの高校生見ませんでしたか、っていう聞き込み。たつみは得意げにへへへと笑っている。シローは思わず顎を引いた。たしかに今日もポロシャツを着ている。
「んなので……探偵かっつの」
「まあこんなので追いつけるかどうか、ぶっちゃけ賭けだったんだけどさ、ほらでも、会えたね」
う、とシローは黙り込む。
先ほど自分が漏らした言葉が信じられないくらいの気恥ずかしさになって返ってきた。
そういえば電話を切らずにいたということは、ひとりで大泣きしていた声も全部筒抜けだったということだろうか。
なんてことだ。羞恥にうつむくシローの頭を、たつみの手のひらがぽんぽんと叩いた。
「夜になる前に来れてよかったよ」
たつみがぽつりと言う。夜、と思ってシローは思い出したようにあたりへと目を向けた。
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