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「俺もびっくりしてます。高澤先生もおもしろがってましたし」
「あっ、先生に話してくれたんだ? どうだった?」
シローが高澤からの伝言をつたえると、たつみは安堵したようにふむふむ頷いた。
「火曜か水曜か……よかった、おれ火曜講義ないんだ。来週あたりお邪魔すっかなー」
それでいいかな、とたつみがシローに問う。それに少しまばたきをして、まあ、とシローは答えた。
「いいと思いますけど……なんで俺に訊くんです?」
「いやだって、ニイドメくんの紹介になるわけだしさ。あ、その日バイトとか部活とかある?」
「俺ですか? 来週の火曜……は、休みです」
「おっけー、んじゃその日にしよう」
たつみは満足げに笑うと、トートバッグからスケジュール帳を取り出して鼻歌交じりに予定を書きいれた。ちょうど五月の一週目にあたる火曜日である。週単位で見ればゴールデンウィーク真っ最中だが、カレンダー上では平日扱いの日だった。
バイトの予定ばかりが書かれているシローのものと違い、たつみのスケジュール帳には様々な予定が書きこまれている。開かれたページだけを見ても三、四色は使われていた。普段ボールペンの黒一色しか使わないシローはそれに少し驚いて、たつみのふわふわ頭のてっぺんあたりを眺める。
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