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まず、一般家庭育ちでたまたまこの学園に入学できる実力があっただけの一般庶民な私がこのセレブだらけの学園でトップの存在である衛人様が側近で良いのかと思う事はよくある。
実際、クラスメイトはあの鬼のような形相の風紀委員……深見衛人の側近をやりたがるなんて死にたいのかと言うくらいだ。
彼は生徒会長をも泣かせた経験があるくらい、人に対してかなり厳しい。現代の土方歳三とか現代の織田信長と人は呼ぶ。
「今日摘発した人数は5人か。放課後摘発予定の生徒は女子だな。女子はすぐ泣くから面倒くせぇな」
「おい、深見様が恐怖のリストをご覧になられてるぞ」
「今日は何人ぶちのまされるんだろう!? こえーよ! 」
学園内で衛人様を呼び捨てにする人は殆どいない。基本的に名前か苗字に様づけだ。
恐怖のリストとは先程、私が持っていたリストだ。問題のある生徒の名前、問題行動の内容を私と深見様でそのリストに追加していく。これは先生からの指示ではなく、衛人様自ら考えて始めた仕事だ。
厳しい両親に育てられたからか、彼は自分にも他人にも厳しい。だからこそ、風紀委員に任命されたのだ。
彼の父親もうちの学園に在学中は風紀委員で、かなり恐れられていたらしい。
「姫菜も変わってるよ。あの衛人様が好きなんて」
凛は呆れながら言った。
そう、私は深見衛人に恋をしている。
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