263人が本棚に入れています
本棚に追加
私、桜坂姫菜は風紀委員会所属の高校二年生。腰まである黒い長い髪を姫カットにし、名門高と呼ばれる高校の制服を校則どおりに着ている為、周りの人からはお嬢様と見られがちだが、私自身は一般家庭で産まれた普通の女子高生だ。
そんな私にはずっと好きな人がいる。
「おい、この本は何だ? 学校に相応しくない本には違いないようだが」
「ひっ! お、お前だって男子だから読むだろう? こういう本」
鬼の風紀委員と呼ばれる男に睨まれた同級生は今にもちびりそうな表情をしている。今日も私と彼は仕事をする。
「読まねぇよ。俺様は健全だからな。ルールにはしっかり従うさ。そのネクタイの色を見たところ、お前は俺と同じ二年生なようだな? 」
「だ、だったら何だ!?」
「この本はR18。どうやって買ったのかねぇ? 聞かせてもらおうか」
鬼の風紀委員は表紙からすぐ如何わしい本だと分かる本を見せ、冷たい口調で言い放つ。
「そ、それは……」
「校則第20条、学校に相応しくない本を見つけた際は直ちに風紀委員会が没収、廃棄。校則も世間のルールも守れねぇとは情けねぇな」
「ま、待ってくれ! そんなルールは生徒手帳には無かったぞ!?」
「ああ、無いぜ? 俺が決めた校則だから」
風紀委員の男はにやりと笑い、眼鏡をくいっと持ち上げながら言った。
「そんな! 理不尽な!?」
「この学校では風紀委員である俺様がルール、だからな? 桜坂、この生徒の名前をリストに」
「は、はい。承知致しました」
私は生徒の名前をリストに書く。
「待ってくれ。何で俺の名前が分かる? うちの学校はクラス数が多いんだぞ!? 」
「桜坂は使える俺の忠犬だからな。学園内の生徒の顔と名前は全て分かっている」
「田山秀樹、2年B組。常日頃から素行は悪いと聞いております」
「分かった。要注意リストにも名前を」
私がリストに名前を書くと、怯えた表情でしゃがみ込む彼を残して私達は教室へ向かう。
最初のコメントを投稿しよう!