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私が彼に出会ったのはもちろん高校の入学式だった。
『いい加減、俺様のものになれよ? 本当は分かってるんだろう? この身体が俺を欲している事』
な、何て素晴らしき神ゲーなの!? イヤフォンで聴いてるのに本当に囁かれているみたい!
入学式の朝、私は新撰組物の恋愛ゲームアプリをプレイし、ニヤニヤしていた。
スマホアプリだからチケットが無いと翌日までこの続きが見れない事だけが不満だけど! 何でこの良いタイミングで終わるの!?
「課金するしか……でも、だめだよ! 私! そのお金があれば、土方様のスペシャルエピソードが買える! 通常のストーリーのチケット配信は翌朝3時に無料で配信されるし! 」
「姫菜ちゃん、遅刻しちゃうよー? 入学式」
「は、はーい! 」
母に言われ、私は慌ててスマホを鞄に仕舞い、リビングへ。
「姫菜ちゃん、本当に大丈夫? やっぱり心配だわ。姫菜ちゃんをセレブだらけの学園に入れるのは」
「だ、大丈夫だよ! 凛もいるし」
「そうだけど! もし、姫菜ちゃんがお嬢様達からいじめられたりなんかしたら……」
母は涙目ながらに言う。
「お、お母さん! いつの少女漫画の話!? 今時ありえないよ? 」
「そ、そう? 何かあったらすぐにお父さんかお母さんに連絡してね」
「もう高校生なのに……行ってくるね? 」
心配する母を置いて、私は家を出て行った。
私の両親はかなり私に甘い。滅多に怒らないし、過保護だし。
だから、なのかもしれない。私はその反動でドMな人間になった。
そんな私を知るのは幼馴染の凛くらいだけど。
でも、現実にはいないよね? ああいうアプリの土方様みたいな自分がルールなドSな男子って。
昨今では草食系男子が多い。少女漫画でさえ、俺様やSな男子は減ってきている。
神様、私にドSな彼氏を恵んでください!
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