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二限目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。
今日は木曜日だから、隣のクラスの3組は一日移動教室がない。
来るかな。
ガラガラッ!
教室の廊下側後ろから、朝から待ち望んでいた音が聞こえた。私は自分の席に座ったまま、首だけを後ろに回し、くりっとした瞳でそっと確認する。
なんだ・・・。
ドアの開く音と同時に、どきっと跳ねた心臓と大きくなった瞳は、瞳の中に映った人物を確認するなり、静かに萎んでしまった。
はぁ・・・。と、胸の中でだけ溜め息をつき、目線を元へ戻す。出しっぱなしだった机の上の消しゴム、赤、青の色ペンを、最近買ったばかりの筆箱──白地に薄ピンクのパンジー柄──にしまっていく。
「高橋ー!いい加減教科書持ってこいよ!」
教室の窓際後ろでは、さっき教室に来た高橋が、佐伯君にでっかい声で怒られている。
振り向かなくてもわかる。だっていつものことだから。
はぁ・・・。
机の上の物を全てしまうと、手をとめて、筆箱のパンジーをじぃっと見つめる。
ねぇ。次の休み時間は、来る?
ゆっくりと筆箱のファスナーを閉めると、両手でぎゅっと一度だけ、パンジーに想いを込めた。
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