幻の餃子

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 彼はノートを開き、時折頷きながらじっと読んでいた。 「これなら何とかなるわ」 「え、肉とか大丈夫な訳?」 「これ、闇業者から買ったらえらくボラれる代物だぜ? 素人には何ともならんだろうけど、幸いツテがあるんだわ」 「それじゃ頼むよ! 肉の調達と、調理も。皮に使う小麦粉は、こっちで手配するから」  僕は悪友の申し出に乗る事にした。 *  *  *  僕は、当時の米軍物資に使われていた小麦粉がどの様な物か調べ、今でも入手可能か調べてみた。  案の定、現在の米国では遺伝子組み替えされた品種の小麦がメインだったが、若干ながら規制が厳しい国への輸出や、国内でも遺伝子組み換えの作物を嫌う需要に応える為、ある程度は栽培されている様だ。  施設の食材仕入担当に、種類を指定して、輸入してもらう様に手配を依頼した。  僕が小麦粉の調査と手配に動いている間、悪友は”特殊肉”の入手に動いていた。  材料費として、百万を先払いした。高価とは思うが、闇の食材を仕入れるのだから仕方ない。  五日程経った後、悪友から手に入った旨のメールが来た。  調理にあたってうちの施設の厨房を使いたいが、一人で作業するので誰も入れて欲しくないという。     
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