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確かに、あれがそんなに美味なら、二度三度とリクエストがあるだろう。
手に入れにくい闇の食材ではそれに答えにくいのではないか。
「そっか、元気でな」
僕は微笑んで見送る事にした。
* * *
悪友がどこへともなく旅だっていった数日後の朝。
スマートフォンに電話が掛かってきた。
着信名を見ると、悪友とは別の友人で、やはり中学時代の同級生だ。
彼は開業の産婦人科医をしている。出産の為の入院設備は小さく、婦人科の診療と堕胎が業務の中心だ。医師なだけあって昔から成績優秀だった。
中学時代、他校の生徒からカツアゲされているところを、悪友と僕の二人で助けてやった事がある。こちらとしては単に、余所者に縄張りを荒らされた事に腹が立っただけなのだが、こいつはそれを恩に着て、今でも割と仲がいい方である。
「もしもし」
「おい、あいつ、どこへ行った?」
「ああ、2.3日前に、”余所へ行く”って言って出てったけど。何があった?」
「いや、さっき宅急便が来てさ。差出人も受取人もこっちの名前になってたんだよ。多分、あいつじゃないかと思って」
「何が入ってた?」
「諭吉の札束! それも十個!」
「お前、それ言ってよかったの?」
「アッーーーー!」
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