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調達したのは、やはり肉だ。そして産婦人科という事は……
それが何か薄々は解るのだが、僕の理性がその特定の邪魔をする。
証拠もなしに疑ってはいけない。
証拠……
うちの施設では、あちこちに防犯カメラが設置されており、厨房も例外ではない。
録画の保管は十日間とされており、それを見れば、あるいは食材が何の肉かが解るかも知れない。解体を厨房の中で行ったなら、原型も解るだろう。
録画を見るべきか、このまま保管期間が過ぎて消去されるに任せるべきか。
僕は迷ったまま、施設へと出勤した。
* * *
出勤するとすぐ、僕は支配人室に呼び出された。
「お早うございます、支配人」
「先日はご苦労さん。早速だが、君に見て欲しい物があるんだよ」
支配人はそういって、壁際のテレビをつける。
そこに映っていたのは、厨房で悪友が包丁を振るっている図だ。
切っているのは、枕と同じ位の大きさで、ぬいぐるみの様に手足がある、赤い……
僕は血の気が引いていくのを感じたが、声を挙げる事が出来なかった。
僕の脳裏にあったのは驚きではなく、疑いについての確信だったからだ。
「これは、君が友人の調理師に依頼した、餃子の調理の様子だが。知っていたのかね?」
「い、いえ…… 僕は、僕はただ!」
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