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そこには、件の精肉店が倒産した事、建物が金融業者の占有物件となっている事が、弁護士と金融業者の連名で書かれた張り紙がある。日付を見ると、二年程前だ。
「手がかりが消えたか……」
この債権者に問い合わせても、恐らく何も解らないだろう。
全くの行き詰まりだ。
僕は途方に暮れたがどうしようもなく、とりあえずは戻る他に無かった。再び車へと乗り込む。
丁度、浜松インターを降りた辺りでスマートフォンが鳴る。番号は非通知だ。
とりあえず出ると、しばらくぶりの悪友だった。
「久しぶりだな」
「何だ、お前。出て来たのかよ」
こいつは中学の元同級生で、当時はよくつるんで悪さをした物だ。
僕は高校へと進んだのだが、あいつの家は進学する金がなかったとかで、地元の餃子店で働き始めた。
僕も時々行ったが、安くて旨い店だった。
だが、何分にも中卒の見習い店員なんて薄給なので、あいつは副業で競艇のノミ行為を働いていた。店の常連だったヤクザに持ちかけられたのである。
競艇場も近く、インターネット投票もある御時世にノミ屋なんて成立するのかと思われるかも知れない。だが、ノミ屋は正規の舟券よりもオッズが良く、ツケも効く為に根強い需要がある。勿論、ツケが払えなければ厳しい取り立てが待っているのだが。
ノミ屋に手を染めたあいつの収入は倍増し、分不相応に羽振りが良くなった。
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