93人が本棚に入れています
本棚に追加
彩は目を開けた。
肺に新しい空気がゆっくりと入る感覚をしっかりと確認する。
(また、あの夢を見たんだ。)
手で自分の首をなで、安堵のため息をついた。
ベッドから上体を起こすと、壁にかけられたカレンダーを見つめた。
「今日が金曜日だから…、うわ、今週の月曜日から連続で見てる。」
気持ちが曇ってきた。
(いつまで続くんだろ。今日は忙しいのに。)
つぶやきながら、夢を振り返った。
でも、夢の中での私は子供だった。
母親は、あの子を虐待していたか殺したのだ。
同じ夢を何回か見ると、いつも関連する出来事に出遭う。 今回の夢は、なんとも寝覚めの悪い夢だ。
(今日のことと関係あるのかな)
ベッドから離れると、カーテンを開けた。
春の陽光の中を、燕が数羽飛んでいく。
(悩んでも意味ないか。来るものには対応しないといけないんだし。)
彩は自分を説得し、うんうんとうなずいた。
最初のコメントを投稿しよう!