少女像の怪談

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†             †             †  後日。  交差点に再設置された少女像の前に花束を供えながら、故人の仲間たちは心晴れやかだった。 「よかったな、犯人つかまって」 「このコも浮かばれるわね」 「知ってる? 交通事故で死んだ人って、日本だけで百万人くらいいるそうよ。ひき逃げされたまま成仏できない魂なんて数知れないんじゃないかしら」 「彼女は幸運なほうなのか」  みんなが少女の冥福を祈ろうと、像に向かって手を合わせたそのとき。  巧みだが無鉄砲な運転の仕方で、速度も信号もおかまいなくすっ飛ばすように走行音を轟かせ、一台の車が猛速度で通り過ぎていった。  カシャッ。  計器が押され、数字がひとつ増えていた。     
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