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間違えて持ってきたのか、別に食べてもいいんだが、注文した本人がなかなか来ないんじゃ申し訳ないな。
「俺店員さんに返してくる」
「お願いね、真代くん」
「ついでにチーズケーキを一つ注文してください」
「テメェでしろふざけんな」
この俺をパシらせようなんざ一億年早いんだよバカが。と内心悪態をつき、俺はエクレアを返すため立ち―――
「ぎッ…!!?」
「ぐぁッ!!?」
―――立ち上がろうとしたその瞬間、俺と勇者は同時に呻き声を発した。
全身を駆け巡る凄まじく熱い何か。目の前が明滅するほど強烈な痛みと痺れに襲われ、俺と勇者は椅子に座ったまま動けなくなった。
まるで、感電して体の自由が奪われたかのような感覚だった。
「それ、僕がお願いした物だから持ってっちゃダメだよー」
能天気な声が鼓膜に触れる。
首から下を動かせず、なんとか目だけで声の主を視界に収めようとする。
「………………ぁ、ああッ…!!」
会長が突如上擦った声を出した。目を見開き、恐怖を浮かべた表情だった。
「な…何者ですかッ、あなたは…!!」
勇者の位置からなら見えるらしい。俺は必死に首を動かそうとするが、意外にも向こうから俺の視界に入ってきた。
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