雷雲連れし雷の子

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「せっかくなんだし美味しい物食べたいし、ちょっとお話したいからね」 黄色い髪に黄色い瞳。半袖半パンの上下セットのジャージを着た小学生くらいの男の子は。 「お久しぶり、元気だった?お姉ちゃん」 綾坂会長を真っ直ぐ見つめ、元気な笑顔でそう言った。 「お…前ッ、なんだ…!?」 「アハハ!そんなに睨まないでよ、顔が怖いよ?魔王のお兄ちゃん」 「ッ!!?」 「勇者のお姉ちゃんもさ、あんまり魔力を高めると周りに迷惑かけちゃうよ?」 「答えなさいッ…!あなたは、一体なんなんですかッ…!!」 「さっき話してたじゃん」 ニッコリと、年相応の笑みで少年は言った。 「一応自己紹介しとこうか。初めまして魔王のお兄ちゃん、勇者のお姉ちゃん。僕の名前はヴォルト。雷の精霊です」 「「!!?」」 こいつが…?こんなガキが、精霊…!? 聞いた時は信じられなかった。だが、俺はすぐに気づくことが出来た。 この魔力の感じ。 そしてさっき言った雷の精霊。 間違いない。こいつ……、 「そうか…お前が、綾坂会長に接触した奴か…!」 「綾坂会長って言うの?お姉ちゃん会長さんなんだね!カッコイー!」 「………」 「…あれ?怖がってる?おかしいな、記憶はないはずなんだけど。記憶だけ消してもその時の感情とかで戻ってきたりするのかな?人間って不思議だね!」
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