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「………真代くんとレアティアさんに、何をしたの」
凄むように口を開いた会長に対し、ヴォルトと名乗った少年は平然とした調子で口元に笑みを貼り付けたまま空いた椅子に座る。
「動けないように体を麻痺させてるだけだよ。首から下はどうしたって動かせない、お話をしにきただけだからね。僕は戦うつもりなんかないもん」
「……話すつもりなら、二人の麻痺を解いて」
「ダメー。勇者のお姉ちゃんは話せばわかってくれるかもしんないけど、魔王のお兄ちゃんはそうじゃないっぽいし」
気づかぬうちに歯を剥き出しにし、眉間にシワを寄せていた俺を指差しながらヴォルトは言った。
ヴォルトはエクレアを手で持って頬張り、美味しさからか顔を弛緩させる。
「精霊なんてモンが、なんの用だッ…」
「これ食べてからでいい?」
「ブチ殺すぞ、クソガキッ…!!」
「うわっ、わかったよ。魔王のお兄ちゃんはせっかちだな―」
指に付着したチョコを舌で舐め取ったヴォルト。
それから言った。
「魔王のお兄ちゃん、人間と仲良くするの止めてくれない?」
さらりと。
ちょっとしたことをお願いするような軽い感じで。
「……は…?」
「魔王のお兄ちゃんのせいで世界の流れが崩壊しそうなんだー。だから止めて?魔王らしく人間の敵に戻ってよ」
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