雷雲連れし雷の子

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声が歪んで聞こえるほどにダメージがでかい。それでもヴォルトを睨み、石のように固まって反応しない体を動かそうとする。 「……俺たちが、本来の世界のあり方と違うことをしようとしてるから、お前らがでしゃばってきたってことなのか…?」 「そだよ」 「じゃあ聞く。どうして綾坂会長の魔力を奪ったんだ、記憶を消すまでして、どうしてそこまでする必要があった」 「ああ、それ?見られちゃったからだよ」 「……………………何?」 「お姉ちゃんに見つかっちゃったの。僕は黙ってようと思ったんだけど、ノームがダメって言うからね。僕らは基本"ここ"の住人には関わっちゃダメなの。だから仕方なくね」 「―――、記憶を消したのと魔力を奪ったのは、お前がやったのか」 「ううん、ノームだよ。僕にそんな力はないからね」 「……会長の魔力は、そのノームとやらを潰せば元に戻るのか?」 「うーん、そうだね。直接取り込んじゃったから吸収には時間がかかるし、まだ間に合うんじゃない?」 「……へぇ」 いいことを聞いた。たまらず口角をあげて笑ってしまう。 つまりは、そのノームとかいう精霊を見つけてなんとかすれば会長は元通りになる。それがわかっただけでも十分な収穫だ。
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