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「それだけ聞けりゃあいい」
「言っておくけど、多分無理だよ?だってノームは僕ら精霊の中で一番強いから」
エクレアを口にねじ込みながら言うヴォルト。
何人いるのかは知らない。どこにいるのかもわからない。質問すればこのガキは素直に答えるかもしれない。
―――だけど、もう我慢の限界だ。
「そうか、精霊ってのがどんなもんか想像もつかねえからどんだけ強いかわかんねえな」
「あ、そうだね。でも僕は戦う気はないよ?僕は注意しに来たの。注意というか忠告かな?世界が壊れる前に、勇者と魔王に伝えたかったの」
「そうかい、ご苦労なこった。で、どうだ勇者。お前素直に従うつもりあるか?」
目と目が合う。
俺と同じく動けないまま、それでもニッと笑って見せた。
「ありませんね、絶対お断りです」
「えーっ!」
「ボクは絶対魔王と結婚して幸せな家庭を作るんです。それに、もう無闇に血を流す必要がないのだから戦う意味はありません。魔王はどうです?」
「テメェみたいなアホンダラと結婚なんざ死んでもしない。けど、それ以外はまぁ同じだ。それに…」
視線を移す。得体の知れない奴らにいいように扱われた少女を見つめ、目の周りに力が籠る。
「…大切な人が傷つけられて、黙ってられないしな」
「―――」
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