『箱庭』の激闘

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逃がさないためにも即座に体を反転させ、振りかぶった右手を目一杯に開き爪を立てる。 そこから黒い光がレーザーのように伸び、やや曲線を描いて形となるそれは五指から生えた漆黒の爪だ。 「【ブラックネイル】ッ!!」 引き裂くべく、躊躇なく五つの凶悪な爪をフルスイング。追いかけるような形で迫り、やがて追い付く―――はずだったのだが、 「ほいっ!」 軽いかけ声とともにヴォルトの体が一瞬だけ黄色く光り、消えた時には爪の届かない遠くにまで移動していた。 フラッシュのせいで完全に一度見失ってしまったが、それでも、 (速えッ…!) 「カッコいいねその爪!でも当たるわけにはいかないよ」 「……爪が嫌なら」 ネイルを解除し、掌に集まった黒い光を握り潰し形を作る。 出来上がったのは漆黒の十字架を模した剣。 「こいつはどうだ!?」 「爪とか剣とか、そういう話じゃないのー」 ヴォルトが構えた真っ直ぐ伸ばした人差し指。そこから閃光が走り、瞬く間に俺めがけ飛来してきた。 「【ブラックユーモア】」 止まることなく閃光に黒い魔力をぶち当て、体当たりで破壊。一直線にヴォルトへ飛び剣先を向ける。 「魔力で武器を作るんだね。こんな感じかな?」 莫大な雷の魔力がヴォルトの右手に集約された。象られたのは、黄色い小槌。
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