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肌に突き刺さる凄まじい魔力圧に突進を躊躇ってしまったが、それも一瞬だけ。揺れた心を立て直し、より一層強く剣を握る。
俺の渾身がさらに加速する。対するヴォルトは迎え撃つ体勢で小槌を振りかぶった。
十字架を突き出し、小槌が剣先と激突。単純な力比べなんかじゃない、
「【ブラックアビス】ッッ!!!」
闇と雷の正面衝突。
爆発的に広がり、混ざり合った大量の魔力による閃光が町を上から、曇り空を下から照らした。
町のすぐ上で発生した衝撃波の被害は甚大だっただろう。だが、
「がッ――あ゙あ゙あ゙ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!??」
絶叫を上げ、体の感覚が何もかもめちゃくちゃになる雷撃に襲われている俺には気にしている暇はなかった。
「ひぇ~…、今のは"ちょっと"ヒヤったしたなぁ。念のために力いっぱい籠めててよかった」
「ぐ…ッあ…!」
(黒魔法はあらゆる魔力を消す力がある……その力が及ばないほどの、とてつもない魔力…!!)
魔力破壊の力を、魔力のごり押しで突き破られた。
実際のところそれは可能なことだ。黒魔法を白魔法で破るのは不可能なことじゃない。だけどさっきの黒魔法はその可能性を限りなくゼロにするために目一杯の濃度で放った。
(それでも平然とやって退けやがった……こいつッ…!)
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