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ぽんと放つ魔力量が破格過ぎる。
これが精霊。世界を外側から監視する人外の怪物。
(……ッ、だから、なんだァ!!)
口の隙間から煙りを零し頬を膨らませ、体内で練り上げた魔力を瞬時に口へと移し眼前にいるヴォルトへ一斉に吐き出
「おっと!」
……視界が眩んだのと、ゴキン!!という音が俺の首から鳴ったのはほとんど同時だった。
そして、吐き出された黒い奔流は無理矢理向けられた頭上へ飛んでいき、黒い雲を突き抜けていった。
気づけば頭の後ろから、背中合わせのような形で額を両手で掴まれ強引に首の向きを変えられていたのだ。
「かぐッ…!!」
姿勢はそのままで全身から全方位に黒い魔力をぶちまけるが、ヴォルトはすぐさま光を残して魔力の届かない場所にまで移動して―――振り向いた時にはまた眼前に。
逆さまの顔が目に映る。
雷を纏った左のオーバーヘッドキックが真上から迫り、脳天に叩き込まれた俺の体は真っ逆さまにコンクリートの地面を割って沈んでいった。
「ふっふーん速いでしょ。スピードには自信があるんだ~」
「―――そうかい」
背後から、愉快にのんきに笑うヴォルトの小さな体めがけ、
「うわッ――!?」
黒い炎に覆われた右拳を打ち出し背中へ。ヴォルトの体は乱回転しながら信号機をへし折り地面へ激突する。
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