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人々が魔王の姿を初めて見た瞬間はそうズレはなかった。誰もが魔王の謝罪する姿を見た。言葉を聞いた。
謝罪会見が終了した時、魔王はこう言い残して退出した。
「近い内に人間界の首相や大統領たちと今後について話し合います。その状況もテレビで報じられるはずなので、どうか見てください」
―――そうして、それから少しして。
各国のトップたちのほとんどが『世界平和会談』に参加し、開催地となるアメリカの首都ワシントンD.C.に集結する。
それには勇者だけでなく、そのパーティーメンバーたちも参加することになった。
そうなれば、魔界側のトップたちも参加するのが筋。魔王と、魔王に選ばれた最強の臣下五人がワシントンD.C.の地に降り立ち、会場へ乗り込む。
緊張と緊迫がごった返す会議場にて行われる。世界の行く末を話し合う、歴史的な『平和会談』が。
画面越しに見る魔王の友人たちはみんな同じ感想を抱いた。魔王と勇者が同じ空間にいるというのも凄まじいが、それよりも凄まじいのが―――よく知る少年がその場にいるという違和感。
魔王を中心にして横並びに座り、勇者側もまた勇者を中心に横並ぶ。向かい合う反対側の席に。
長い横に連なった席に大統領たちが座り、参加者全員が集まる。
口火を切ったのはアメリカ大統領、フレンツァ・ダウネスだ。
「では、始めようか」
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