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戦いを察して停止していた車にも何台かぶつかりながら転がっていくヴォルトだったが、勢いが止まる前にこちらへ飛んできた。
派手に転がった割には外傷無し。それどころか服にすら汚れがない。
「びっくりした~。何今の、もしかして瞬間移動?」
「まぁ、そんなもんかな」
「すごーい!魔王のお兄ちゃんは瞬間移動出来るんだ~!」
頭から顔に流れ落ちてくる血は気にしない。纏った黒い炎を消してから、
「…お前、一体どんな体してやがるんだ」
「え、僕の体?」
「さっきの打撃、ダメージゼロだろ。それに体のどこにも掠り傷すらないし、服にも汚れがねえ。ご丁寧に服の外側に魔力のバリアを張ってるっつーならわかるが、そんなのしてないだろ」
「アハハ、やっぱり気づいた?そっ、僕の体は魔王のお兄ちゃんが考えてる通りの物だよ」
「………てことは、お前」
はっきりと首を縦に振って、少年は朗らかに、包み隠さず説明してくれた。
「僕の体は雷属性の魔力で出来てるんだ。この世界に漂った目に見えないほど薄く微弱な雷属性の魔力を集めて一つにした結晶―――それがボク、雷精ヴォルトだ」
「……俺たちの零した魔力の欠片で作られた存在、か。つまり、お前みたいにそれぞれの属性で出来た精霊がいるってことか」
「ビンゴ!」
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