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フレンツァの言葉に会場内の空気が先以上に張り詰めた。人間と魔王が同じ空間で会話をする前代未聞の会談が開始される。
その直後、手を上げ発言を申告したのは魔王の少年だった。まさかのトップバッターに大統領や各国の記者、カメラマンが息を飲む。
「始まったってことで、まずはこの魔王リオシスから話させてもらう。あまり時間をかけたくないので勝手に話し続けるが、質問や意義があれば好きな時に言ってくれ」
この時ばかりは真代 扇ではなく、純粋に本来の名であるリオシスを語る。立ち上がったリオシスに視線が、カメラのレンズが集中する。
会場内にいる人物全員が耳に小型のイヤホン式翻訳機を付けているため誰が何語で話そうとも理解出来る。人間の言語なら全て聞き取れ話せてしまう魔王も含む悪魔たちだが、彼らはリオシスの指示で日本語に翻訳されるように設定していた。
だから、リオシスの口から出た言葉は当然日本語。
「先日起きた魔王を名乗った悪魔による事件について、深くお詫び申し上げます。魔王の俺の管理体制が不十分だったことが原因です。人間の皆さん、心配をおかけしてすみませんでした」
テーブルに手をつき額をつけて、リオシスは深々と謝罪した。その姿を無数のカメラマンが同時にシャッターを切るが、しかしあっという間にその音は途絶えてしまう。
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