提案すること、されること

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唯一人間たちにも知られている魔王の名。詳しい情報はないがその名前だけは確かに語り継がれているのでリオシスの口から出た言葉に会場内がざわめく。 「質問、よろしいですか。魔王リオシス」 挙手し、臆することなく口を開いたロシア大統領ケイミー・タングレイ。 「何故ルベルディーゼが現代にいるのです?遥か昔に亡くなったというのは間違いだったのですか?」 「いいや間違いじゃない。ルベルディーゼは確かに死んだ。けど、彼は自分の腕の骨で自分で作った剣に自分の精神を移してから死んでいたんだ。俺たちも知らなかったことだ、まさか、魔王直々に守るように言われてきた魔界の宝にそんな秘密が隠されていたなんてな」 「では、何故悪魔バエラスはその剣を手にしたのですか?」 「そこは今調査中だ。何せ本人は記憶にないと言っているし、俺の記憶を覗ける精神干渉魔法を使ってもわからなかった。バエラスが骨剣を取った記憶が綺麗に消えてしまっていたんだ。考えられる原因としては、ルベルディーゼの精神が介入したことによっての精神障害の影響だろうな。記憶が酷く曖昧なのは俺も確認してるけどそれが原因かはわからない以上、これからも調査は続ける」 淡々と簡潔に話をするリオシスには口を挟む隙も見当たらない。
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