提案すること、されること

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「調査の結果等がわかった時はまたこうして話し合う場を設けてもらう。その件ではアメリカ大統領に感謝してる、俺のいきなりの頼み事に応じてくれてどうもありがとう」 実は、リオシスはフレンツァと事前に会い今回の会談を行ってもらうよう頼んでいた。数日前、ホワイトハウスに突如現れたリオシスはフレンツァにこの会談の旨を告げていたのだ。 「この会談の本題は、人間界と魔界のこれからについてだ」 リオシスの言葉に全世界が注目する。一体何を言い出すのか予測出来ない人間たちにはこの上ない緊張が走る。 「先の事件はバエラスを乗っ取ったルベルディーゼの暴走であり、魔王である俺は一切関与していない。だから率直に言わせてもらう。―――人間と魔物との平和協定を結びたい」 またもざわめく会場。 「本来俺は人間と構えるつもりはなく、将来互いに友好的になるようにと考えていた。あっちゃいけないことだったけど、ルベルディーゼの件をきっかけにして提案したい」 「それは一体どのような協定なんだ?」 フレンツァが質問する。 「いきなり仲良くしようとしたって無理だろうから、まずは形だけでもそうしたい。俺が提案するのは二つ。一つは人間界も魔界も互いの領地へ踏み入らないこと。もう一つは、魔界側は人間界の危機的状況に無償で手を貸すこと。これだけだ」
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