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数秒沈黙が生まれた。予想だにしない魔王の提案に固まる人々だったが、そんな中で手を上げる人物がいた。
勇者レアティアだ。
「あなたが言った二つの提案について詳しい説明をお願いします」
「チッ」
「舌打ちはやめてください」
こんな状況でも露骨に態度に出す魔王はため息を吐いた後、レアティアの要求に答えた。
「一つ目については、互いの領地に許可無く入ることを禁止するってことだ。今まではお互い敵同士だったわけで、バレなきゃいいっていう考えで相手の領地に入ってた。それを完全に無くしたい」
「なかなか難しいことですよそれは。魔物の入国を許可するというのは、他国から来た旅行者を入国させるとはわけが違います」
「わかってる。そこはあんたたちの判断に委ねる。あんたたちがダメだと言えばダメで、俺もそいつを人間界には入れない。どうするかは人間が自由に決めればいい」
ケイミーの質問に真っ直ぐ目を見て答えるリオシス。
「魔界側も同様に許可なく侵入するのを禁止する。が、ルベルディーゼの件での償いってわけじゃないが、一部魔界を人間たちに自由にしてもらおうと思っている。観光するも研究するも構わない。安全はこの俺が保証する」
「魔界にバカンスに行けるってことですか」
「そういうことだ。ただし勇者お前はダメだぞ」
「意地悪しないでくださいよ」
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