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拒絶を意地悪と捉えるレアティアのメンタルにまたも舌打ちするリオシス。
「もう一つの提案は、人間界でのトラブルに魔界も協力して取り組むということだ。災害や事件があった時、人間だけでは手が余る場合は魔王軍が助力するってこと。もちろん金とかの要求はしない。言ってしまえばボランティアだな」
魔法がある以上、人間界でも未解決の事件もあるし自然災害の復興には魔法でも限界がある。それらに無償で手を貸すというのは正直なところありがたい面も少なからずあるだろう。
「俺からの提案は以上だ。これをぜひとも受け入れ、お互いに平和な未来を実現したいと願っている」
「もし断ったら?」
勇者パーティーのサレア・ケステミーラが問う。それはリオシスの提案を聞いていた者たちなら微かにだが確実に抱く懸念だった。
リオシスは目を細めてサレアを見て、しばし黙ってから、
「……俺からの提案が飲めないのなら、俺は俺で自由にやらせてもらう」
「と言うと?」
「俺は魔王だからな、魔界を平和にしたいのはもちろんだ。それに俺は人間界も好きだから出来れば人間界も平和であって欲しい。……俺の提案を受け入れないなら、俺は俺のやり方で二つの世界を平和にする」
小首を傾げたサレア。他の人間たちもほとんどが同じように首を傾げ怪訝な顔をする。
唯一人、勇者レアティアを除いて。
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