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当然といえば当然の結論である。
世界に恐怖を振り撒く存在と長きに渡り言い伝えられてきた魔王が同じ学校に通うなんて、人々からすればこの上ない恐怖でしかない。見た目に変わりがなくても、よく知る人物であっても、人ではない怪物と同じ空間になんていられるはずがない。
だったら扇は学校を去るしかない。自分が知る人たちを、これ以上苦しめたくない。自分がいるだけで苦しむのなら、いなくなるしかないのだ。
「本当に、お世話になりました。短い間でしたが、先生方に教えていただいたことは忘れません」
「………真代くん、それは本当にキミの意思なのか?」
「え?」
「キミが辞めるというなら我々は止めないよ。キミも魔王で忙しくなるだろうから、辞める選択は間違ってはいないだろう」
「……校長先生、一体何を…」
「もったいぶりすぎです校長。早く言ってください」
教頭につつかれた校長は頭をかいた後に咳払いをした。校長が何を言いたいのか、何を言おうとしているのかがわからず黙り込んでしまう。
「真代くん、キミに提案がある」
「…………て、提案?」
「うむ」と頷く校長は、扇の目を真っ直ぐ見据えてこう口にした。
「こちらからの条件を飲んでくれるのなら、キミの在学を認めようというものだよ」
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