提案すること、されること

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知らないところで動いていた勇者にも、それを許可した日本政府や保護者たちにも絶句する扇。 あまりに都合がよすぎる展開に扇自身が気持ち悪く感じてしまう。まるで誰かの思い通りに世界が回っていて、それを自分が外側から見ているような感覚。 ………というか、その誰かはわかっているのだ。 (あの野郎、なんのつもりだ…) 勇者レアティアがどういう意図で動いたのかなんて到底わからない。ひとまずレアティアの件は置いておくとして、扇は俯きながら考える。 本当に自分は学校にいていいのかと。 「……キミも魔王で忙しいのはわかっている。生徒たちにいらぬストレスをかけることを心配しているのも私たちはなんとなくわかる」 「………」 「だが、キミはどうなんだ?キミの気持ち、キミの本心は何を望んでいるんだ?提案を出されて、それでも学校を辞めるというなら私たちは止めない。さあ、キミの本当の気持ちを聞かせてくれ」 握った拳が小刻みに震える。 胸の高鳴りが異常だ。 呼吸がうまく出来ない。 ―――だけど。 「…………俺は、魔王で…いるだけでみんなに不安をかけるような存在で、生徒や保護者の人たち、先生たちにもどう思われてるかはわからないけど…」 ぐっと歯を食い縛る。 情けないまでにすがろうとしているのがわかる。自分がどこまでも浅ましいと思い知らされる。
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