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「モルモットになんのも今日限りだ、残念だったなぁゴミどもが」
自分が空けた穴を見下ろす。いくつか転がる黒焦げの人らしき物を見下ろし、デリブは引き裂けたような笑みを浮かべた。
「安心しろよ、お前らの目的通り世界を手にしてやる。この俺が世界を手にする、人類最強の勇者だろうが世界を支配しようとしてる魔王だろうが関係ねえ!!俺がッ!俺こそが真の支配者だ!!!」
デリブの体に刻まれた赤い紋様が光り輝いた――その瞬間、全身から全方位に灼熱を撒き散らし、下にある実験施設も地上の大自然も何もかも消し炭に変えた。
残ったのは、スプーンで掬われたように綺麗に抉れた大地のみ。
「ハーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!最ッ高だ!今日から始まるんだ、俺の本当の人生はこの時から始まるんだよ!!誰にも邪魔はさせねえ!!勇者も魔王も全部ブッ殺す!!この世界を俺だけの物に変えてやるんだ!!」
高らかに笑う怪物は美しい青空をひん剥いた目で見上げる。
全てを手にする。見上げる空も、立つ地面も、吸い込む空気も。ありとあらゆる全ての物を自分の手中に収める。
人間であり、怪物である。つまりは怪人。
怪人デリブは遠くから聞こえる人々の悲鳴を聞き、ニタリと邪悪に笑った。
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