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ここからおよそ数キロ先の悲鳴をも聞き取る強靭な聴力。範囲内ならばどんな音も聞き逃さない怪人の耳には住人たちの悲鳴はより鮮明に届いていた。
「ハッハハァ、まずはこの国からやるか。オーストラリア、俺の母国。手始めにするにはもってこいだなァ!!」
怪人がターゲットをロック。
そして、無慈悲な殺戮が始まる。会話など出来るはずなく、戦っても歯が立たず、命を乞うても許可されない。
一方的すぎる虐殺。オーストラリアが生んだ最悪の怪物は、時折咆哮を上げながらも暴れ狂う。
「歯応えがねえ!!無さすぎる!!まるで泡みてえだなぁ人間の命なんて!!強え奴来いよ、俺を楽しませろよ!!礼として完膚なきまでにブッ壊して踏み潰してやるからよォ!!カハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
怪人は残虐に笑う。
血に濡れながら腕を広げ、背を弓の如く反らし、体を震わせ大きく大きく、笑う。
逃げ惑う人々。動けなくなる人々。死に行く人々。
まさに地獄。
それをたった一人で生み出した怪人こそが、この場を恐怖で支配する絶対的な支配者となった。
「そこまでです」
地獄を。支配を。殺戮を。虐殺を。怪人を。
―――純白の髪を靡かせた一人の人物が、全てを止めるべく現れた。
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