勇者と魔王がいる世界

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白い髪。色白の肌。エメラルドグリーンの瞳。純白の鎧。黄金の剣を背中合わせに持つ鷲が描かれたマント。 世界中の人間の誰もが知る人物。 希望の象徴。 「…誰だァ?お前」 「あなたが望む『強い奴』ですよ」 勇者。名はレアティア・ビーレイカ。 世界に散らばる宝剣の一つ、『聖剣・ミアリナード』を手にした最強の人間。 「あぁ、ああ、ああ!わかるぜおいッ!お前強えな、そこらの奴らとは桁違いに強えよなァ!!待ってたぜお前みたいな奴をよォ!!!」 嬉々として目を剥き笑う怪人デリブ。そんな彼を勇者レアティアは無表情のまま見つめる。 「あなたが何かは知りませんが、ここまでです。あなたはボクが止めます」 「やれるもんならやってみろや。俺は最強だぜ?世界の支配者になる男だぜ?お前なんざに勝てるわけねえだろうが馬鹿がァ!!!」 「世界の支配者……ですか」 「ああそうだ!!俺がこの世界を手に入れるんだよ、邪魔する奴は片っ端からブチ殺すんだよォ!!なんか文句あんのかァア!!?」 「いえ、文句はありませんよ。ただ、ボクが思い描く『世界の支配者』にはいろいろと足りない物があると思いまして」 「…あぁ?何わけわかんねえこと言ってんだよ、いいからとっととかかって――――、?」
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