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「………魔王…?お前が…お前みたいなガキがか…!?」
目を剥くデリブは信じられないと言いたげな顔をする。対する扇は冷たい眼差しでデリブを睥睨し、
「まーたとんでもねえのが出てきたな」
一瞥だけで魔物の遺伝子を取り込んだ人間であることを見抜き、扇はしかめっ面で吐き捨てた。
「始めますよ魔王。これ以上は被害を広げたくはありませんから」
「お前一人でやれよ、俺はもう十分働いた。給料よこせ」
「何を言っているんですか。勇者のボクと魔王のあなたが一緒に戦うことで人々は信じて納得してくれるんですよ?あと給料は出ません」
「ああ…?勇者だァ?テメェが勇者?テメェみたいな野郎が勇者だァ!!?」
「野郎ではありませんよ、ボクは乙女です。乙女であり勇者でもあるのです」
「ケッ、何が乙女だよバーカ…」
「何か言いましたか?魔王」
「ケッ!!何が乙女だよバーカ!!」
「誰も繰り返せとは言ってません!!」
勇者と魔王。
人間の頂点と魔物の頂点が、怪人を挟む位置で立つ。
二人とも、とてもそうとは思えない。だが強いのは確か。仮に本当だとすれば……、
「……ハッ、カハハハハハハハ!!探す手間が省けたってことだなァ!!まさか一遍に始末出来るとは思いもしなかったぜ!!」
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